被災地の「今」を歩いて学ぶ。高校生18名が能登半島地震のインフラ調査に参加。
2025年11月1日(土)~3日(月・祝)の3日間、大学の防災教育センター主催による「まちあるきで学ぶ防災 ~能登半島地震被災地におけるインフラ調査~」が開催されました。 大学の中澤研究室の学生4名と、本学園グループの北高・星陵高校の生徒を含む県内の高校生18名が参加し、石川県かほく市、輪島市、穴水町、七尾市の被災現場を視察しました。
本プログラムは、上田記念財団の助成を受けて実現したもので、次世代を担う高校生に「災害の現実」と「土木・インフラの重要性」を肌で感じてもらうことを目的として実施されました。参加した生徒たちは、専門家の解説や大学生のサポートを受けながら、自身の目で被害の爪痕を確認し、復興の現状と課題に向き合いました。
活動レポート
【1日目】 液状化の現実と対策技術(かほく市)
初日は、かほく市にて液状化による甚大な被害を受けた住宅地や、その対策としての「地下水水位調整実証実験」の現場を見学しました。
現場では、かほく市の職員の方に加え、実証実験を手掛ける静岡県の企業「アサヒエンジニアリング」の技術者の方から案内を受けました。発災当時の混乱や、「水などの物資は届いたが、下水処理が整わずトイレが大変だった」といった生々しい経験談、そして最新の対策技術についての講義に、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。
自分たちの住む地域の企業や大人が、遠く離れた被災地の復旧最前線で活躍している事実を目の当たりにしたことは、生徒たちにとって非常に有意義なキャリア教育の機会となりました。
【2日目】 自分の足で歩き、考える(輪島市・穴水町)
2日目は輪島市へ移動し、4つのグループに分かれてフィールドワークを実施。「五島ビル跡地」や「輪島朝市火災跡地」などを巡り、大学生の解説を聞きながら、隆起したマンホールや亀裂の入った道路、損傷した橋梁などのインフラ状況を詳細に調査しました。 午後は穴水町役場で、復興担当職員の方から現状を伺い、実際の復旧現場を視察。 夜のグループミーティングでは、視察で得た情報を元に「なぜその被害が起きたのか」「今後どうすべきか」を議論しました。各グループとも、技術的な視点や住民生活の視点など鋭い意見が飛び交い、非常に堂々とした発表が行われました。
【3日目】 「自分事」として捉える(七尾市)
最終日は七尾市のマリンパーク周辺を視察。初日にはただ驚いていた生徒たちも、3日目になると「ここは液状化の痕跡ではないか?」「この建物の被害はこういう理由では?」と、自ら気づき、考察する姿が見られるようになりました。 目立つ被害だけでなく、生活道路の細部の不便さや復興の難しさを肌で感じ、災害を他人事ではなく「自分事」として捉える意識の変化がはっきりと見て取れました。
3日間の視察を通じ、参加した高校生たちは目立つ被害状況だけでなく、生活における細部の不便さについても理解を深めている様子でした。 今後、参加生徒による報告会なども企画しており、今回参加できなかった生徒たちにも、現地で見てきたこと、感じたことを共有する場を設ける予定です。


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